【感想】小説「黙示の島」

「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD」の元となった佐藤大輔の小説を読破しました。

未完に終わった佐藤大輔原作・佐藤ショウジ作画の「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD」、ほんとに大好きな作品だったんですがそのプロトタイプというか原点ともいうべき小説があるというのはうわさに聞いてたんですよね。学園黙示録のほうはドラゴンエイジの付録として小説がついてきてそちらは所持してて感想も書いたんですが。

【感想】小説版 学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD <終わりの日>
https://kazefukukoya.seesaa.net/article/201101article_10.html

そしてその元となった小説がこの「黙示の島」だという。ただ文庫やノベルズ版もなくハードカバーのみみたいで見かけることはなかったんですがこの度ついに図書館で借りて読むことができましたよ! 念願かなったぜ(笑)。

さて本編ですが舞台はおそらく伊豆諸島と思われる架空の島ですね。ただ名前が「鼎島」なのでいきなり驚かされましたが。というのも小説版学園黙示録の主人公である小室孝の出身も鼎島なんですよねー。がぜん楽しみになってくる。この人口の少ない離島での様子が描かれるんですけど実は僕にはものすごくイメージしやすかったんですよね。というのも今年の5月に伊豆諸島の神津島で3泊したのでこの離島の描写がすんなり頭の中で思い浮かべられたというか。逆に言えばそれだけリアルな文章でもあったので作者も実際に離島でバカンスしたことがあるのかあるいはこの執筆のために離島で過ごしてたのかも。

メインの登場人物は5人。友人の別荘を借りて休暇に来た社会学者・伊倉浩一。女医の能瀬睦美。14歳の剣道少女・真波由梨。北海道から来た元いじめられっ子でミリタリーおたくの17歳・財津忠之。そして忠之の祖父である謎の老人・財津君三郎。
……なんというかキャラクター設定を見ても学園黙示録と思い切りかぶってて面白い(笑)。女医・剣道少女・ミリタリーおたくなんてまんまですからね。と言っても中身はまた別ですが。睦美は社交的に見えて実は我が強すぎるのを自制してるだけですし、由梨は剣道少女と言っても性格的には学園黙示録の冴子みたいなクールビューティータイプではなく麗や沙耶のほうが近いかも。唯一、忠之はけっこうコータに近いですね。あそこまでスペック高くはないようですけど。いずれにしても全員人付き合いにおいては問題のある様子。

というわけで読み始めてみるとほんとに面白かった! 学園黙示録のようなゾンビ物かと思ってましたがそうではなく島の住民たちが次々と異常をきたしていき始めて殺戮を開始していくという展開。主人公たち5人には人付き合いよりももっと重大な共通点があることが判明していくわけですがそれゆえに読んでて安心感もありましたね。主人公の伊倉はこれと言って特殊能力はないんですが学園黙示録の孝のようにリーダーとしての素質を開花させていくところとか。剣道少女の由梨も学園黙示録の冴子とは似てないと思ってたら実は同じような闇を抱えていることがわかったり。彼らは生き残るための戦いを始めるわけですがこれも何というか痛快で、ガンガン狂った住民たちを殺しまくってるのになんだか爽快感があるという(笑)。
ただすごく面白いのにページ数が残り少なくなってきていったいこれどう終わらせるんだ、まさか唐突な全滅エンドなのかと思ってたらラスト三行でさらっと完璧に終わらせてしまって変な笑いが出ましたが。

しかしこの小説は学園黙示録につながったのはよくわかりますねー。というか作者自身によるリメイクと言ってもいいかも。実写映画にしても面白いんじゃないかとも思いました。
久しぶりに学園黙示録のBDやコミックを見直してみようかな。

黙示の島
黙示の島

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